腰痛の検査【画像検査方法と臨床検査方法を詳しく説明します】
腰痛の検査は、医師の診察によって得られた情報を確認し、患部の症状を診断するために、さまざまな検査が行われます。
主なものは画像検査と血液や尿を調べる臨床検査です。
画像検査
①エックス線検査
画像検査の中で、まず、初めに行われるのはエックス線検査です。
整形外科では、必ずエックス線検査を行います。
基本的には、体の正面と側面からエックス線撮影を行います。
必要があればさらに斜めから、また腰を曲げた状態、そらせた状態などを撮影しま す。
この検査で、がんやカリエスなどの骨の異常や骨折、弯曲の程度、脊椎の分離やすべ りの状態がわかります。
加齢による生理的な変化、たとえば骨棘ができていないか、狭窄になっているか、な ども調べます。
②CT検査
CTとは、エックス線を放射する装置を体のまわりをらせん状に回らせてエックス線 撮影し、コンピュータ処理によって体の断面画像にして検査する方法です。
馬尾神経や神経根が圧迫されていないかどうかを検査できるので、椎間板ヘルニアや 脊柱管狭窄症の診断には欠かせません。
③MRI検査
MRIは25年程前から導入された検査方法です。
強力な磁力線を体に当てて、体の内部の細胞中の水素分子を振動させ、その状況を コンピュータで画像にして撮影する検査方法です。
MRIは、エックス線を使用せずに体の内部を撮影できるので、安全で画期的な検査
方法です。
画像も、CTでは水平な断面画像が基本ですが、MRIの場合は縦、横、斜めなど
様々な角度の画像が撮影できます。
ただし、強力な磁力を使うので、体の中にペースメーカーなどが入っている人は、
この検査はできません。
MRIはエックス線検査ではわからない椎間板の髄核の水分の減り具合や突出まで撮 影することができるため、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の場合には欠かすことがで きない検査です。
MRIの登場で、腰椎の患部が手術しなくても画像でみられるようになった
ので、手術が減りました。
④造影撮影検査
造影撮影検査とは、ヨードを含んだ造影剤を患部に注入してエックス線撮影する方法
脊髄造影検査、神経根造影検査、椎間板造影検査などがあります。
しかし、脊髄造影検査は、現在MRI検査にとってかわられ、椎間板造影検査や神経 根造影検査は、手術が必要な場合、最小限の手術をするために患部を特定するときに
行われます。
⑤骨シンチグラフィー
骨に炎症や腫瘍がある場合に行う検査です。
炎症や腫瘍のある部分に放射性同位元素を静脈注射し、放射性同位元素が特定の病巣
に集まる性質を利用して、それを放射能検出装置で測定することで患部の状態を調べ ます。
病気の早期発見に役立ちます。
⑥骨量検査
CTで、腰椎の海綿骨部の骨密度を測定するなどの方法で行います。
骨粗鬆症の早期発見や治療効果の確認に使われています。
臨床検査
臨床検査は、腰痛はあるが、はっきりした原因がわからない場合に行われるもので す。
①血液検査
化膿性脊椎炎、脊椎カリエス、骨腫瘍などの時には、赤血球沈降速度を測定し、異常 を調べることがあります。
リウマチが疑われるときには、血清の免疫学的検査を行います。
②尿検査
尿路結石などが原因で腰痛が起きている場合には、尿検査でわかります。
尿にタンパクや血液、尿糖などがまじっていないかどうか調べます。