腰痛の診察方法【問診・視診・触診方法を解説します】
腰痛の場合、受診するのは整形外科です。
病院での診察方法は、まず医師の問診から始まります。
問診は、医師が症状やその経緯を尋ね、病気についての正確な情報を得るために行います。
医師が直接訪ねる場合と、あらかじめ問診票と呼ばれる書面を渡され、要点を書き込んでおき、それにもとづいて医師が尋ねる場合があります。
問診では、主に腰痛がいつ始まったのか、痛む場所、痛み方、どんな時に痛むか、腰痛以外の症状はあるかなどを聞かれます。
この問診によって医師はおおよその症状をつかみ、どんな検査をするのかを決定します。
ですから、誇張を避け遠慮をせずに、率直に聞かれたことに答えるようにしましょう。
病院に出かける前に要点をメモに書いて整理していくと、慌てずにすみます。
また医師には、どうしてもらいたいのかも伝えます。
痛みをとり去ってもらいたいのか、痛みはさほどではないが痛みの原因を知りたい、などです。
医師は問診でだいたいの見当をつけてから、視診、触診に移ります。
視診は、患者が診察室に入ってきたときから始まっています。
歩き方、腰のかばい方などで、おおよその腰痛の重症度を知ることができます。
顔色も視診の対象となり、痛みで顔が引きつっていれば、かなり痛みがあると判断しますし、顔色が悪ければ他に病気があることを疑います。
さらに整形外科的な視診では、患者の腰や背中をみます。
皮膚の色はどうか、腫れていないかどうか、背骨や骨盤が曲がっていないか、臀部(でんぶ)や下肢の筋肉が萎縮していないか、などです。
触診は、背骨を触って変形が起きていないかを調べたり、押したり叩いたりして、どの程度痛むかをみます。
次に行うのは運動機能の診察で、立った姿勢で腰を曲げて指先を床につける動作をしてもらいます。
腰痛の患者は大抵床に指をつけることができないので、床との距離はどのくらいかをはかります。
その他、体を横に曲げたり、後ろにそらせたりして、どのような姿勢をすると一番痛むのかなどを確認します。
次に患者が診察台に横になり、神経学的な診察を行います。
神経には運動神経と知覚神経がありますが、脊柱にある脊髄神経や馬尾神経は両方の神経に関係しているため、両者の反応を確かめます。
運動神経を診察するには筋力テストを行います。
医師が手で足を押さえて負担をかけ、足首の力や足の指を動かす筋力がどのくらいあるのかをテストするものです。
知覚神経は、医師が筆などで皮膚をさわってみて、触れられた感じがわかるか、また、皮膚を針で軽くつついて痛みを感じるかどうか、などによって調べます。
膝を伸ばしたまま片足をだんだん持ち上げていき、どこまで上がるかをテストする「下肢伸展挙上試験」も行います。
正常ならば、床に対して90度まで足は上がりますが椎間板ヘルニアなどの場合には痛みで足を上げられません。
これをラセーグ徴候と呼んでいます。
この痛みは、足を上げると、なんらかの原因で圧迫されている坐骨神経が刺激を受けるために起こるものです。
椎間板ヘルニアの他、脊椎すべり症、腫瘍などでもこのような症状は起こります。
その他、膝の下やアキレス腱をたたいて、神経の反射も調べます。
このように診察することで、痛みの原因や病気を調べていきます。